2010年04月27日

『発達障害とともに―学びをどう支えるか』

昨年の記事だけど
昨日見つけたのでご紹介☆

朝日新聞社
朝日・大学パートナーズシンポジウム
発達障害とともに―学びをどう支えるか
2009年3月1日(日)

【基調講演】心寄り添う指導の場を ―― 竹田契一・大阪教育大名誉教授
【抜粋↓】
 日本ではこれまで、「全員右向け」と言ったら右を向かなければいけない集団指導の教育をしてきた。これが特別支援教育で変わった。というよりも、変わっていないといけない。

 高等教育でうまくいっている例に、障害学生を受け入れるハワイの大学の「Kokuaプログラム」がある。苦手な語学を免除する制度や、大学側が友達を1人つくってくれるパートナーシステムの制度もある。2人一緒だといじめられにくくなるし、話し相手ができる。

 レスリーカレッジという大学では、発達障害専門コースがある。ここでは、自尊感情を高めるトレーニングをして社会に出す。ここの学生に共通しているのは中学、高校でいじめ抜かれて不登校になった経験があること。自尊感情をズタズタにされた経験のある子を受け入れる大学だ。そういう学校がアメリカにはある。

 今後必要なのは、発達障害の子らの心に寄り添った指導ができる場を多くつくることだ。「特性」を「障害」にしないように、または障害があっても負担を軽くするにはどうすればいいかを考える必要がある。


【パネル討論】違い越え つながる
【抜粋↓】
――発達障害における特別支援教育の現状をどうみるか。課題は何か。

花熊:従来の特殊教育や障害児教育から特別支援教育への転換により、通常の教育と特殊教育の壁が取り払われ、個々の子どもに応じた支援を教職員すべてが目指すようになった。一人ひとりの違いに対応できるユニバーサルデザインの授業を目指すようにもなった。LDやADHDの子どもにわかりやすい授業は、ほかの子どもにも理解しやすいという考え方だ。

米田:支援は始まったが、就労という出口でのつまずきの問題は解消されていない。学生が自分自身を知り、自分で決めていく力をつけることが大切と感じる。

品川:子どもたちの教育的ニーズに対応できていない場合が多い。例えば多動な子どもイコールADHD、と安易に決めつけ、医師の診断があれば支援の対象。なければ今まで通り、という固定観念からなかなか脱却できない。
ADHDだからわかってあげようという指導だと、結果的にその子どもの将来を見据えた指導にはならない。


――約4年前に発達障害者支援法ができたが・・・

花熊:地域間格差があり、同じ地域でも学校間格差がある。熱心な先生とそうでない先生との格差も。でも、取り返しのつかない遅れではなく、本腰を入れれば1年で先進地域になりうる。

品川:ここはいい、と思う学校に共通するのは、「特別支援教育やってます」との看板を特に掲げていないこと。特別ではない特別支援教育。学び方が違う子どもがいるという前提で学校や授業を変えていっている所は、看板を掲げなくても子どもが支え合い、教師も生き生き指導している。


――親は何をすればいいのか

花熊:当事者のニーズを行政に伝えること。行政と対立するのでなく、協力しながら行政を育てる視点が重要だ。


――発達障害の子を育てて

米田:就学前に相談した先生に聞いた「苦手なところはつつかず、持っている力を伸ばして」との一言を頼りにしてきた。親は周りの子と比べ、うちの子はできないと言ってしまいがち。でも「あなたにはこんなに素晴らしいところがある」と伝え、できない点を周りに知ってもらうことが大切だ。

五十嵐:失敗だったのは、兄の障害を弟にちゃんと伝えなかったこと。一緒の家にいるのでわかっていると思いこんでいた。

花熊:量より質を考えて、親は子どもをかまってほしい。障害のないきょうだいに「あなたのためだけにここにいるよ」という時間を必ずつくって。それがあれば、時間が短くても親は受け止めてくれていると納得する。


――障害のある人が、自分の認知の仕方や学び方の特性をどう理解するか。どう助けたらいいのか

五十嵐:長男の耳に間違ったかたちで障害のことが入るのが嫌だったので、早いうちから家で障害について言い聞かせた。

花熊:障害を伝えるときには、子どもが肯定的な自己像を確立している必要がある。先生や学校など周りの支援体制が整っているかどうかも重要。友だちとのトラブルが頻発するとき、「僕のほうにいけない点があるのだろうか」と、自分の問題として受け止められるかどうかが大切だ。


【自分を発信 居場所作る/当事者、体験語る】綾屋紗月さん
【抜粋↓】

 アスペルガー症候群と診断され、著書「発達障害当事者研究」を著した東京都在住の綾屋紗月さんと、共著者で東京大学大学院在学中の熊谷晋一郎さんが、自らの体験や身体感覚について話した。

 物や体、人から送られてくる様々な情報をさばききれずに、頭が飽和してしまうという特徴が綾屋にはある。

 例えば、ファミリーレストランなどのにぎやかな所では、相手の話だけに注意を集中することができず、すべての音を拾ってしまう。そのためいろいろな音が一気に頭の中に入ってきてしまう。

 体についていえば、普段から全身のいろいろな場所から、勝手に様々の刺激が発信されている。「頭皮がかゆい」「右下腹部が痛い」「体が重い」など。言葉にしにくい感覚もあり、「うるさい体の持ち主」と言える。これらの刺激が潜在化されずに感じられる。例えば、レストランでメニューを決める際には、のどは「飲みやすいものを」、胃は「おなかがふくれるものを」、皮膚は「温かいものを」とバラバラに訴える。そのため、注文を一つに決めることができない。
熊谷晋一郎さん

 他人とのかかわりでは、例えば、飲み会でたくさんの人と会うと、寝るときになって多くの人たちの表情やしぐさが、スナップ写真のようにバンッ、バンッと再生される。予想もしないタイミングで予想もしない内容を見せられている感じで、痛みのような感覚を伴う。

 「私のことを伝えたい」という開かれた気持ちで、試行錯誤しながら「わたし語り」を発信することで居場所を得ていく。当事者研究とは、そうした居場所の作り方を模索する研究方法だと思う。少しずつだが、無理をしすぎないでいられる居場所が社会の中にできつつあるのを実感している。


【解説/6.3%の子に可能性 小中の通常学級】
 発達障害には、自閉症やアスペルガー症候群を含む「広汎性発達障害」▽落ち着きがなく、時に衝動的な行動をとる「注意欠陥・多動性障害」(ADHD)▽読み書きや計算など特定分野を学ぶことが苦手な「学習障害」(LD)などが含まれる。広汎性発達障害は、想像する力やコミュニケーションに困難を抱える。自閉症の連続体の意味で「自閉症スペクトラム」とも呼ばれる。発達障害は、育て方によるものではなく、脳の機能障害が原因と考えられている。

 文部科学省の02年の調査では、小中学校の通常学級の子どもの6.3%に発達障害の可能性があった。

 05年4月、発達障害の早期発見やサポートを国や自治体の責務とする「発達障害者支援法」が施行された。都道府県や政令指定都市にある「発達障害者支援センター」は、発達障害に関する相談に応じ、支援活動を進めている。


ラベル:自閉症 ADHD LD 教育
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